株式会社ライフィ

限定正社員で日本の労働は変わるのか??

 先日書いた「不本意型非正社員」

 ここの定義すらおかしいと思っている私ですが、非正規労働者が増え、収入が安定しない人たちが増え、何とか正社員を増やしたい。この問題を解決する案として出てきた「限定正社員」

 先日NHKで放映された時論公論 「限定正社員は誰のため」を観て「またまたおかしなことを言っているなぁ」と感じました。

要約すると
「限定正社員」とは、無期限の雇用で、職種・勤務地などを限定して働く正社員のこと。
「限定正社員」制度を作ることで正社員としての雇用が増える。しかし、勤務地を限定しているために職場が閉鎖になればクビにできる。結果、労働者のためではなくて、経営者のための制度ではないのか?・・・という趣旨。

 さて、日本の労働人口は約6,000万人。うち、中小企業で働く人は4,857万人。残りは公務員が398万人と745万人の大企業の労働者。

※出所:総務省統計局統計調査部事業所・企業統計室企画係「事業所・企業統計調査報告」
※内閣官房行革推進室 公務員の種類と人数

 すなわち、大半の人が中小企業で働いています。多数の中小企業では、正社員の大多数が職種を限定されていませんかねぇ?営業は営業、事務は事務、製造は製造と、なっていることがごく普通。多少の転勤はあったとしても、新設のセクションができない限り、職場の配置換えなんてほとんどおきやしないです。

 この現状に「限定正社員」制度が誕生しても、特に中小企業での変化は起きないでしょう。

 となると、「限定正社員制度」は大企業に向けた制度なのでは?とは思うのですが、んじゃぁ「不本意型非正社員」398万人のうち、何人が大企業で働く745万人の中に吸収できるのでしょうかね?多く見積もって10%ととするならば、75万人くらいでしょうか?これで日本の労働状況が変わるのでしょうか?。

 いつも思うのですが、雇用促進のために、『職場を提供するためにはどうすればよいのか?』議論するときに中小企業の経営者の心理状況をちゃんと把握してから政策を決めないとだめですよね。国民の80%の労働者は中小企業が雇用しているのだから。どっかの中小企業団体に聞いてもダメですよ。答えるのは団体職員というサラリーマンであって、経営者ではないので。

 中小企業経営者にとって、最大のテーマは『会社を潰さず、経営し続ける』こと。

 労働者ならば雇用保険等で守られ、大企業だと、経営危機に陥れば、政府から助け舟が出て、社長は「責任?」を取って退任するけど、銀行借り入れの連帯保証とかは無いから関係なく、結果しゃんしゃんと立て直しが可能。

 だが、中小企業の経営者の場合はそんなに簡単な話じゃない。倒産となれば銀行借り入れの連帯保証で自宅を取られ、自己破産&家族離散という状況になります。

 その最悪な事態を想定しながら会社を経営している中小企業にとって、雇用の増加はリスクになりかねない。原因は『労働基準法』。労働基準法のほとんどは、大企業を意識した作りとなっていて、その基準に中小企業も同じレベルで規制されていることが、そもそもおかしい。

 過去、旧社会保険庁のアホどもが無駄遣いしたおかげで毎年有無も言わさず社会保険料は上がって、中小企業の経営に大きな負担となってきている。それでも頑張って経営し、景気が良い時期にはできるだけ雇用を増やしたい!けども、悪くなっても人員整理はできないから雇わない。

 経営者が自分で責任を負える範囲の中でしか採用はできないので、労働基準法が新規採用を躊躇させるのです。雇用促進法で助成金という名の税金をばらまくよりも根本的に中小企業を中心とした労働基準法に作り替え、特別枠で大企業に厳しくする方がよっぽど雇用を促進しそうな気がします。

 労働者を守る法律があり、大企業を守る仕組みはあるけど、中小企業経営者を守る法律は存在しないので、経営者は『自己責任』で自分と家族を守るのです。

追伸:公務員の人数は約400万人。労働者全体は約6,000万人。労働者15人で1人の公務員の生活を維持している割合で、年収600万円の公務員ならば、労働者一人当たり年間40万円の割合です。

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