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本のご紹介「ケーキの切れない非行少年たち」

ご無沙汰しています、もっちです。
今日は本を一冊、ご紹介させていただきます。

「ケーキの切れない非行少年たち」

著者は児童精神科医の経験があり、現在は大学教授。
医療少年院での経験が多く語られています。

この本では、非行少年、少女の多くが抱えた問題の本質と
それらが実は大きな課題をはらんだ社会現象の一つであること、
そして具体的なアプローチ方法が考察されています。

では抱えた問題の本質とは何か。それは「認知のゆがみ」です。
「認知」という言葉はなんだかとてもわかるようでわかりにくい。

でもこの「認知」というのは、
知っているだけで少し楽な気持ちにしてくれたり、
コミュニケーションをスムーズにしてくれたりするかもしれません。

ちなみに私自身、非行や教育問題などはあまり身近な話ではありません。
むしろ良くも悪くも縁遠い。
でもこの本の本題である「認知」は誰にとっても身近なお話です。
久々に衝撃を受けた本でした。
 

認知のゆがみとは何か

認知とはそれが何であるかを知覚し、判断することやその過程のことです。
では「認知のゆがみ」があるとどんなことがあるのでしょうか。

例えば図形の模写をやってもらう、
認知の中でも「見る力」にゆがみがあると歪なかたちになるそうです。
「聞く力」が弱ければ、ほとんど理解していない、
もしくは間違って理解している、というようなケースも考えられるそうです。

この本の表紙には切られたケーキの絵がかかれています。
これは認知の弱さからケーキを3等分に切ることができなかったという例です。
普通(ここでは認知の力が一般的な人と考えてください)の人は
なぜこうなるのかが理解できません。

他にも計画がたてられない、後先が考えられない(専門用語では実行機能と呼ばれる)、
そんなことも認知のゆがみが原因となっていることがあるそうです。
例えば「お金がほしい」と思うと
「家族に借りる」と「他人から盗む」は並列の選択肢として並び、
安易な方法をとって犯罪を行ってしまうのです。

それからもうひとつ
殺人などのひどい犯罪を行った非行少年に「あなたはやさしい人間か」と聞くと、
8割は「自分はやさしい人間だ」と答えるそうです。
「あなたは〇〇さんを殺しましたよ、それはやさしい人間ですか」と聞いて初めて、
自分のことが認識できる、というエピソードがありました。
認知に問題があると「そこまで言わないと気づけない」という話です。

著者はこれらの事象は幼いこどもや知的障害を持った子供でもみられることから、
事象自体が珍しいことであるとは語っていません。
むしろ適切な診断やサポートや教育が受けられず、誰にも気づかれずに、
結果的に凶悪犯罪に至ってしまう子供が多いこと、
そして少年院に入ったとしても問題の本質に気づかれていないことに
警鐘を鳴らしています。

この話は非行少年だけにあてはまるものではない

ここでは「認知」という言葉でなんとなくひとくくりしておきますが、
この「認知」というものの明確な指標はありません。

一つの指標としてはIQがあります。
現在知的障害と診断される定義はIQ70未満、ただし1970年以降の定義です。
1950年代はIQ85未満で知的障害と判断されてきました。
そして境界知能(知的障害とは診断されない)と呼ばれるIQ70~85の人達は
現在の社会でおよそ14%存在しているそうです。

IQという指標だけでは見えないこともたくさんあり、
IQが高くてもその中の能力に高低差が極端にある場合、
やはり認知のゆがみが見られることがあるようです。

著書ではIQが100以下の場合、
社会生活にしんどさを感じるとことが多いと書かれています。
一方で軽度の知的障害があっても日常生活を送るのには一般人と大差なく、
特殊免許を取得する、自衛隊に入隊する、なども可能であり、
ほとんどは気づかないとも書かれています。

大事なことは「認知」の弱さやゆがみの程度によっては支援が必要だということです。
でも実際はそんな支援が受けられるケースは少なく、
本人や周りは原因がわからないまま苦しさを抱え続けている、
という現実があるのです。

そして「認知」の弱さやゆがみを持っていても、
普通に成人して社会にでて、家族をもつ、
そんな人たちの方が多数であるわけです。

ではどんな問題が出やすいのでしょうか。
例えば、
仕事でミスが目立つ、
人間関係がうまくいかない、
空気が読めない、
段取りが組めない、
転職を繰り返す。
すごく身近な話になってきませんか。
 

さいごに

認知のゆがみというのは、強弱はあれ、だれもがもつ特徴なのだろうと思います。
自分の認知のゆがみを知ることで自分自身が楽に、
また相手のことが分かればアプローチを変えてみることができます。
もちろん特徴ではすまない、支援が必要な人もいます。
そして必要な支援が届く社会であってほしいと思います。

この本に書かれた事実をなるべく正確に伝えたいのですが、
この場だけではなかなか難しいものです。
興味を持たれた方は、誤解がないように是非本を読んでみてください。

ちなみに「メタ認知」というものはご存じでしょうか。
メタ=高次の、という意味で、
自分の認知をさらに認知し制御することなどを指すそうです。

私も会社で受けた研修で知り、感情のコントロールなど非常に有効なことから
メタ認知能力を上げたいなと思ってきました。
メタ認知能力が高まれば、自分の欲求も客観的に把握し、
コントロールしていけるわけです。
そうなると苦労せずに痩せることも可能ですよね。
残念ながらそう思ってそのまま数年たちますが・・。

少し脱線しました。
この本では認知力をあげるための方法なども触れています。
認知力をあげることは実は表面化している課題の根本解決になるかもしれません。
メタ認知もきっと同じです。遠回りのようで一番近道。

このブログを読んでご興味をもっていただけたら嬉しいです。

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